日本SF大会は毎年夏に開催される、SFファンが集まるお祭りです。2025年は東京・蒲田で行われました。この年は月刊OUTが休刊して30年。元OUT編集者の小林治さんによる「せっかくだから、OUTの同窓会的な企画をやりたいね」という趣旨に賛同し、私たちOUT勝手連も企画運営のお手伝いをしました。何でOUTがSFかって、ほら、そもそも創刊号からして目からビームが出ていたわけだし。
呼びかけに応えて出演くださったのは、小林治さんともうお一人、元ライターの榎野彦さん(作家の鷹見一幸先生)です。司会は元常連投稿者のおたっきぃ佐々木さん。

とはいえただ普通に思い出話をやってもつまらない、それじゃOUTじゃない。ということで今回の企画はこれだ。
「休刊30周年記念! あの伝説のアニメ・サブカル誌関係者が語る、もう一つの世界線」

その世界線では現在も刊行中である「月刊OuuuuuuT」の編集長(ChatGPT)に雑誌の歴史について解説してもらい、それに対して登壇者の方々がツッコむ。そして我々の知っている世界線での当時の話をする、というものです。あっ、お分かりのように「OuuuuuuT」の元ネタは「ジークアクス」です。
いろんな話題が出ましたが、その中でいくつかピックアップしてレポートします。
今回のSF大会は学校(日本工学院)のフロアを借り切る形で、各企画は教室で行われました。最初に小林さんから会場の参加者へ質問。月刊OUTを読んでいた人は7割くらいでしたかね。読んでいなかった3割には比較的若めの方々もいて、ということはそもそもOUTを知らなかった人も?
○「目からビーム」で有名な創刊号の表紙は?

月刊OUTの最初期は大学生向けのサブカル雑誌でしたが、月刊OuuuuuuTは若いサラリーマン向け、「週刊SPA」みたいな感じだったんでしょうか。
(小林)モーレツ社員の昼食って、何か気になるよね。
○アニメファンに衝撃を与えた「悩ましのアルティシア」とは?

月刊OUTではガンダムのセイラさんを脱がせた、ということで当時の青少年アニメファンに多大な影響を与えた企画ですが、月刊OuuuuuuTではセイラさんがただ悩んでいるだけだった。
(小林)若干セイラさん…?ちょっと似てないよ。
(榎野彦)(OUTの方で)富野さんに怒られたの俺だから。それで「どうせなんだったら、もっと綺麗に描きなさい」って言われたの。
(佐々木)これだったら富野さんも別の意味で怒るかもしれない。
○アニパロ小説「農耕巨神イネオン」について教えてください

(榎野彦)なんだよこれ(笑)。
(小林)ちょっとガンダムっぽい?
(佐々木)まあ、いちおう赤いですから。
「農耕巨神イネオン」は、榎野彦・花小金井和典コンビのアニパロ小説で、OUTへの初掲載作でした。
(榎野彦)兄貴(RIIさん)に言われたんだけど、「おまえ、商業誌なんだぞ」って(会場爆笑)。
勝手連のインタビューでも触れられていますが、最初はシナリオ形式で、それを花小金井さんが小説にするスタイルになった、という話から、最初は締切りまで3日しかなくて書いたなど、当時の制作秘話が続々と。
そこから話は流れて、編集部に来たハガキの量の話(かごいっぱいのハガキが何箱も配達された)や、投稿するときに常連は画用紙を切って封書で送ってきていた、ハガキを選ぶ方は常連だけじゃなく新人の将来性を見て選んでいた、などの話が飛び出しました。
○「流星皇子TOMMY」について教えてください

(小林)これいいじゃん(笑)。これでもう一回やってみる?
(榎野彦)芦田さんに説明させていただいて…もう怒られないな(笑)。
(小林)今のスタジオ・ライブの社長の神志那さんには俺から話を通すから。これでいま小説を書いたらどうなります?
(榎野彦)これ?うーん…どうしようもねえなあ。(会場爆笑)
なおインタビューでもあった通り、「流星皇子TOMMY」は小林さん時代のOUTの企画で、CDドラマがメジャーレーベルから発売されました。
○人気コーナー「ゆう坊のでたとこまかせ」の年間優秀者の商品「でたパン」について解説してください

司会が会場に「でたまか背番号を持っている人」と訊いたら、数人の手があがりました。すごい!一番古い方は600番台でした。このほかにも、鷹見一幸先生(榎野彦さん)の小説「でたまか」シリーズ発刊当初の秘話などが語られました。
ところで実際のでたパンはもちろん「でたとこまかせパンティ」なわけですが、友人たちに訊いたところ、何人も「持ってるよ」という人がいたのには驚いた。私(SII)はでたまかにはあんまり載らなかったなー。
○「アウシタン集会」とは何でしょうか

(小林)これいいね。面白い。もうこれは100点じゃないですか。
(佐々木)ChatGPT、やるね。
(小林)これさ、みんなで投稿しない?Twitterで。「ただいまアウシタン集会開催中、合言葉は”ここに在らざる時空へ”って」
ここで書いた以外にも「月刊さくまの激面」とか「伝説の5枚表紙の号」などネタはいくつもあり、また登壇者の方々から数々のお話が出たのですが、レポートはここまで。
なおSF大会閉会式で発表される暗黒星雲賞の企画部門で、「アウシタン・アウシターナの部屋」は、一位は逃したものの、いくつか挙がった「次点」のなかに含まれていました。OUTの名前に恥じない企画にできたかな…。投票してくださった皆さんありがとうございました!
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